最低賃金の目安審議が進行中——台東区の経営者が知っておきたいこと

厚生労働省は、令和8年度の最低賃金の目安を検討する中央最低賃金審議会「目安に関する小委員会(第3回)」の資料を公表しました。この小委員会は、都道府県ごとの最低賃金を決める際の「目安」を議論する場です。ここでの議論が、東京都の最低賃金、ひいては上野・台東区で事業を営むみなさまの人件費に直結してきます。

今回公表されたのはあくまで審議の途中段階の資料であり、具体的な引き上げ額はまだ確定していません。ただし、経営に大きく関わるテーマですので、早めに動きを把握しておくことが大切です。

そもそも最低賃金とは

最低賃金とは、雇う側が従業員に必ず支払わなければならない1時間あたりの賃金の下限のことです。パート・アルバイトも含め、すべての労働者が対象になります。毎年夏ごろに中央で目安が示され、それをもとに各都道府県の審議会が地域の最低賃金を決め、例年秋(おおむね10月)に改定されるのが一般的な流れです。

飲食・小売・建設・サービス業への影響

台東区・上野エリアには、飲食店や小売店、建設業、サービス業など、パートやアルバイトを多く雇用する事業者が数多くあります。最低賃金が引き上げられると、次のような影響が考えられます。

  • 時給で働くスタッフの人件費が増加する
  • 最低賃金ぎりぎりで雇用している場合、賃金の見直しが必要になる
  • 社会保険料や残業代の計算基礎も変わり、コスト全体に波及する
  • 近隣店舗との採用競争で、時給の設定を再検討する必要が出る

特に人手を多く必要とする業種では、わずかな時給アップでも積み重なると経営に響きます。だからこそ、確定を待つのではなく、事前にシミュレーションしておくことが安心につながります。

最低賃金の改定は「決まってから対応」では間に合わないことが少なくありません。人件費は固定費の中でも大きな割合を占めるため、早めの試算が経営の余裕を生みます。

経営者が今できる具体的なアクション

引き上げ額が確定していない段階でも、準備できることはあります。以下の順番で進めてみましょう。

  1. 現在の従業員の時給を一覧化する——最低賃金に近い水準のスタッフが何名いるかを把握します。
  2. 複数パターンで人件費を試算する——仮に時給が数十円上がった場合、月額・年額でいくら増えるかを計算しておきます。
  3. 価格設定やシフトの見直しを検討する——コスト増を吸収する方法(メニュー価格・営業時間・業務効率化など)を洗い出します。
  4. 使える支援策を確認する——賃上げや設備投資に関する助成金・補助金が用意されている場合があります。自社が対象になるか確認しておきましょう。

なお、賃上げに取り組む中小企業向けには、国や東京都でさまざまな支援制度が設けられることがあります。制度の内容や要件は年度により変わるため、最新の情報を確認することが重要です。

税理士
税理士のひとこと

上野で飲食店を営むお客様から「時給を上げると利益が残らない」というご相談をよくいただきます。人件費の増加分は、資金繰りだけでなく決算・納税にも関わってきます。数字を早めに見える化しておくと、価格改定や設備投資の判断がしやすくなります。まずは一緒に試算してみるところから始めましょう。

まとめ

令和8年度の最低賃金は、現在も審議が続いており、額は確定していません。しかし、改定が行われれば台東区・上野の中小企業や個人事業主にとって人件費という大きなテーマに直結します。「決まってから慌てない」ためにも、今のうちから人件費の試算と対策の検討を進めておくことをおすすめします。

出典

厚生労働省(2026年7月23日)

最低賃金の改定は毎年の話題ですが、自社の人件費や資金繰りへの影響は業種や雇用形態によって大きく異なります。今井税理士事務所(東京都台東区東上野)では、地域の事業者のみなさまの実情に寄り添いながら、人件費の試算や資金計画のご相談を承っています。「うちの場合はどうだろう」と気になったときは、どうぞお気軽にお声がけください。

本記事は公表時点の情報をもとにしています。制度は改正されることがあり、個別の取り扱いは状況により異なります。実際のご判断は税理士等の専門家にご相談ください。

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