最低賃金の目安づくりが動き出しました

厚生労働省は、令和8年度(2026年度)の最低賃金の目安を検討する「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会」の第3回会合を開き、その資料を公表しました。この小委員会は、都道府県ごとの最低賃金を決めるうえでの「目安(引き上げの方向性や幅の考え方)」を議論する場です。ここでの議論が、最終的に台東区・上野をはじめ全国の事業所に適用される時給の下限額に影響していきます。

「うちは小さな飲食店だから関係ない」と思われるかもしれませんが、最低賃金はパート・アルバイトを含むすべての労働者に適用されるため、業種や規模を問わず、人を雇っているすべての事業者に関わる話です。今回の資料公表は、いわば来年度の人件費を考えるうえでのスタート地点にあたります。

中小企業の経営者にどう関係するのか

最低賃金が引き上げられると、当然ながら人件費に直接影響します。特に上野・台東区エリアで多い飲食・小売・サービス業は、時給で働くスタッフの割合が高く、影響を受けやすい業種です。

影響が出やすいポイント

  • 時給を最低賃金ぎりぎりで設定しているスタッフの賃金見直しが必要になる
  • 最低賃金付近の従業員の時給を上げると、その上の役職・ベテランとの賃金バランス(差)も調整が必要になることがある
  • 人件費の増加分を、価格設定やシフト、業務効率でどう吸収するかの検討が求められる

なお、現時点で公表されているのはあくまで審議会での議論に用いる資料であり、来年度の具体的な金額や地域別の適用額が確定したものではありません。数字の断定は避け、今後の正式な決定・公示を確認していくことが大切です。

最低賃金は例年、審議会の答申を経て地域ごとに決まり、秋以降に発効するという流れが一般的です。まずは「引き上げの方向で議論が進んでいる」という前提で、早めに資金繰りのシミュレーションを始めておくと安心です。

いま経営者がやっておきたい準備

  1. 現在の人件費を把握する…従業員ごとの時給と、最低賃金との差額を一覧にしておきます。
  2. 引き上げを想定した試算をする…仮に時給が数十円上がった場合、月間・年間で人件費がいくら増えるかを計算します。
  3. 吸収策を検討する…価格改定、シフトの最適化、業務効率化などの選択肢を洗い出します。
  4. 支援制度をチェックする…最低賃金の引き上げに取り組む中小企業向けには、設備投資や環境整備を支援する助成金が用意されている場合があります。対象や要件は年度ごとに変わるため、最新情報の確認が必要です。
税理士
税理士のひとこと

上野で飲食店を営むお客様から「時給を上げると利益が残らない」というご相談をよくいただきます。人件費の増加は避けられない流れですが、値付けの見直しや、設備投資による省人化とあわせて考えると、経営全体で無理のない形にできることも多いです。数字を早めに見える化することが第一歩です。

資金繰りの視点も忘れずに

人件費の上昇は、毎月の資金繰りにじわじわと効いてきます。特に売上に季節変動のある業種では、繁忙期と閑散期で資金の余裕が大きく変わります。

元銀行員
元銀行員のひとこと

人件費が増える局面では、運転資金の必要額そのものが上がります。金融機関は「なぜ資金が必要か」を重視しますので、最低賃金引き上げへの対応という前向きな理由を、試算とあわせて説明できると評価されやすくなります。早めの相談が有効です。

まとめ

今回の資料公表は、来年度の最低賃金を決めるための議論が本格化したことを示すものです。金額が確定していない今だからこそ、自社の人件費を把握し、引き上げを想定した試算をしておくことが、あわてず対応するための備えになります。台東区・上野で事業を営む皆さまも、この機会に一度、数字を見直してみてはいかがでしょうか。

出典

厚生労働省(2026年7月17日公表)

最低賃金への対応や、それに伴う資金繰り・助成金の活用について気になる点がありましたら、上野・台東区で地域の事業者を数多くサポートしている今井税理士事務所にお気軽にお声がけください。数字の見える化から、無理のない対応策のご提案までお手伝いいたします。

本記事は公表時点の情報をもとにしています。制度は改正されることがあり、個別の取り扱いは状況により異なります。実際のご判断は税理士等の専門家にご相談ください。

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