厚生労働省が「令和7年 労使間の交渉等に関する実態調査」を公表
厚生労働省は、企業と従業員(労働組合など)との間で行われる賃金や労働時間といった労使間の交渉の実態をまとめた調査結果「令和7(2025)年労使間の交渉等に関する実態調査の概況」を公表しました。少しお堅いタイトルですが、ここには上野・台東区で事業を営む経営者の皆さまにも関わる、賃金交渉や働き方をめぐる世の中の流れが映し出されています。
この記事では、調査の位置づけと、中小企業の経営者・個人事業主が「自社にどう関係するか」という視点で、できるだけかみくだいてお伝えします。
そもそもどんな調査なの?
この調査は、企業と従業員側がどんなテーマで話し合いをしているか(賃金、労働時間、雇用や人員の問題など)、そしてその交渉がどのように行われているかを把握するためのものです。労働組合がある会社だけでなく、これからの労務管理を考えるうえで参考になる「全国的な傾向」を知る手がかりになります。
なぜ台東区の中小企業の経営者にも関係するのか
「うちは小さい会社だから労使交渉なんて関係ない」と思われるかもしれません。しかし、飲食・小売・建設・サービス業など、上野エリアで多い業種ほど、近年は人手不足や賃上げの圧力に直面しています。
- 従業員から「給料を上げてほしい」という声が出やすくなっている
- 最低賃金の引き上げが続き、人件費の見通しが立てにくい
- 働き方や残業時間について、従業員の関心が高まっている
こうした世の中の動きの「全体像」を国の調査で確認しておくことは、自社の賃金や労働条件を考えるときの判断材料になります。周りの会社がどんなテーマで話し合っているのかを知ることで、自社が何に備えるべきかが見えてきます。
人件費は「資金繰り」にも直結する
賃上げや労働時間の見直しは、従業員のモチベーションに関わる一方で、会社にとっては固定費の増加につながります。特に売上の波がある業種では、人件費が増えると毎月の資金繰りに影響が出やすくなります。
賃上げ自体は前向きな話ですが、金融機関の立場で見ると「人件費が増えたぶん、利益や返済余力はどう変化するか」を必ず確認します。決算書の数字に表れる前に、月々の資金繰り表で人件費の増加を織り込んでおくと、いざ融資の相談をするときも説明がスムーズです。
経営者が今からできること
調査結果そのものを細かく読み込む必要はありません。大切なのは、これを自社の労務・財務を点検するきっかけにすることです。次のような順番で考えてみてください。
- 自社の人件費が、売上に対してどのくらいの割合を占めているかを把握する
- 賃上げや最低賃金の引き上げが続いた場合の、来期以降の人件費を試算してみる
- その増加分を、価格設定の見直しや生産性の向上でどう吸収できるかを検討する
- 必要に応じて、賃上げや設備投資を支援する補助金・助成金の活用を調べる
特に4つ目は見落としがちなポイントです。賃上げや人材確保、設備投資を後押しする制度は折に触れて用意されています。条件に合えば、人件費増の負担を和らげる選択肢になります。
数字でとらえると判断しやすい
「なんとなく人件費が増えてきた気がする」という感覚を、決算書や試算表の数字に落とし込むと、対策が立てやすくなります。下の表のような視点で整理してみるのがおすすめです。
| 確認する項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 人件費率 | 売上に対して人件費がどのくらいか |
| 利益への影響 | 賃上げ後も利益が残る構造か |
| 資金繰り | 毎月の支払いが回るか |
| 活用できる制度 | 賃上げ・採用関連の補助金・助成金 |
賃上げを実施した場合、一定の要件を満たすと税制上の優遇を受けられるケースがあります。制度には適用条件や期限が定められていますので、「うちは対象になるのか」をご自身だけで判断せず、決算の前に一度ご相談いただくと、取りこぼしを防ぎやすくなります。
まとめ
今回の調査は、賃金や労働条件をめぐる世の中の動きを知るための資料です。上野・台東区の中小企業や個人事業主にとっても、人件費の増加にどう備えるかを考えるよい機会になります。まずは自社の人件費と利益・資金繰りの関係を数字で確認し、必要なら専門家と一緒に対策を考えてみてください。
今井税理士事務所(東京都台東区東上野)では、財務分析や資金繰りのご相談をはじめ、地域の経営者の皆さまに寄り添ったサポートを行っています。「人件費が増えてきて先行きが不安」「賃上げと利益のバランスをどう取ればいいか」といったお悩みも、お気軽にお声がけください。
出典
本記事は公表時点の情報をもとにしています。制度は改正されることがあり、個別の取り扱いは状況により異なります。実際のご判断は税理士等の専門家にご相談ください。
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