なぜ経営者・個人事業主に「生命保険を使った相続対策」が関係するのか

台東区・上野エリアで会社や店舗を営む経営者、個人事業主の方にとって、相続は「まだ先の話」と感じられるかもしれません。しかし、事業を持つ方の相続では、自宅・店舗・工場・機械・在庫といった「すぐには現金化しにくい資産」が多く、いざ相続が発生したときに「相続税を払う現金が足りない」という事態が起こりやすいのが実情です。

そこで昔から活用されてきたのが、生命保険を使った相続対策です。生命保険には相続税の非課税枠があり、さらに受取人が確実に現金を受け取れるという特徴があります。この2点が、事業を持つ方の相続と非常に相性が良いのです。

生命保険の相続税「非課税枠」の仕組み

非課税枠の基本ルール

亡くなった方(被相続人)が保険料を負担していた生命保険金を、相続人が受け取った場合、その保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象になります。ただし、一定額までは非課税とされています。計算式は次のとおりです。

生命保険金の非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、500万円 × 3人 = 1,500万円までが非課税となります。この枠を超えた部分が課税対象に含まれる仕組みです。

誰が受け取るかで税金の種類が変わる

生命保険は「契約者(保険料を払う人)」「被保険者(保険がかかる人)」「受取人(お金を受け取る人)」の組み合わせによって、かかる税金が変わります。相続対策として非課税枠を使いたい場合は、次の形が基本です。

契約者(保険料負担) 被保険者 受取人 かかる税金
本人 本人 相続人(配偶者・子など) 相続税(非課税枠あり)
本人 配偶者 本人 所得税
子 親 子 所得税

非課税枠が使えるのは、上の表の一番上の「相続税」がかかるパターンです。契約の組み合わせを間違えると意図した効果が得られないため、加入前の確認がとても大切です。

「納税資金の準備」としての生命保険

現金で受け取れることが最大の強み

相続税は、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に、金銭で一括納付するのが原則です。しかし事業を営む方の相続では、財産の多くが不動産や事業用資産で、手元の現金が少ないケースが少なくありません。

不動産を売って納税資金をつくろうとしても、買い手がすぐ見つかるとは限らず、期限に間に合わないおそれもあります。この点、生命保険なら受取人が請求すれば比較的早く現金を受け取れるため、納税資金や当面の事業運転資金の備えになります。

遺産分割トラブルの緩和にも役立つ

生命保険金は、原則として受取人固有の財産とされ、遺産分割協議の対象外となるのが一般的です。そのため、特定の相続人に確実に現金を渡したい場合や、事業を継ぐ人に資金を残したい場合の調整手段としても使われます。ただし、金額のバランスが著しく偏ると別の争いのもとにもなり得るため、全体設計の中で考えることが重要です。

税理士
税理士のひとこと

上野の事業者の方からは「店舗と自宅が財産の大半で、現金がほとんどない」というご相談をよくいただきます。相続人の数に応じた非課税枠を意識しながら、納税資金と事業承継の両面から保険の入り方を設計すると、いざというときの資金繰りがずいぶん楽になります。

経営者・個人事業主が次にやるべきこと

  1. 法定相続人の人数を確認する…非課税枠(500万円×人数)がいくらになるかを把握します。
  2. 今の保険契約の「契約者・被保険者・受取人」を確認する…相続税の非課税枠が使える形になっているかをチェックします。
  3. 相続税がいくらかかりそうかを試算する…事業用資産・不動産・借入も含めて、納税資金の不足額を見積もります。
  4. 不足する納税資金を保険でどこまで備えるか検討する…事業承継や遺産分割の希望と合わせて設計します。
元銀行員
元銀行員のひとこと

納税資金は「10か月以内に現金で」という時間の制約があります。不動産の売却や融資での対応は時間がかかることもあるため、あらかじめ現金で受け取れる備えを持っておくと、相続後の資金繰りに追われずに済みます。

まとめ

生命保険は、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠と、現金で確実に受け取れる納税資金という2つの面で、事業を持つ方の相続対策と好相性です。契約の組み方ひとつで税金の扱いが変わるため、加入・見直しの前に一度整理しておくことをおすすめします。

出典

  • 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」

本記事は公表時点の情報をもとにしています。制度は改正されることがあり、個別の取り扱いは状況により異なります。実際のご判断は税理士等の専門家にご相談ください。

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