こんにちは。今井税理士事務所(東京都台東区東上野)です。

結論からお伝えすると、「労働災害動向調査」は規模の大きな事業所が中心の統計ですが、そこで示される業種ごとの傾向や、規模が小さい事業所ほど労災が起きやすいというデータは、台東区・上野エリアで飲食・小売・建設・サービス業を営む中小企業にとってこそ、自社の安全対策を見直す重要なヒントになります。

厚生労働省は「令和7年 労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)」の結果を公表しました(公表日:2026年6月16日)。一見すると税務とは関係なさそうに思えるかもしれませんが、実は経営や人材確保にも深くつながるテーマです。この記事では、調査の概要と、自社にどう関係するのかをわかりやすく解説します。

労働災害動向調査とは?制度の概要

労働災害動向調査は、厚生労働省が事業所における労働災害(仕事中のけがや病気など)の発生状況を把握するために行っている統計調査です。この調査は、主要産業における労働災害の発生状況を明らかにし、労働安全衛生対策を進めるための基礎資料として活用されています。

調査では、労働災害の発生頻度を示す「度数率」や、災害の重さを示す「強度率」といった指標がまとめられています。度数率は100万延べ実労働時間あたりの死傷者数で災害の起こりやすさを、強度率は1,000延べ実労働時間あたりの労働損失日数で災害の重さを表します。難しい言葉に聞こえますが、要するに「どの業種で、どのくらいの頻度・重さで労災が起きているか」を全国規模で示したデータです。

「うちは小さいから関係ない」は要注意?規模が小さい事業所ほど労災率は高い

「うちは100人もいないから関係ない」と思われるかもしれません。たしかに今回の調査対象は規模の大きな事業所が中心です。しかし注目すべきは、過去の調査でも、事業所規模が小さくなるほど度数率・強度率がともに高くなる傾向が示されている点です。つまり、規模の小さな事業所ほど労災への備えが重要だということです。

また、業種ごとの傾向も中小企業にとって参考になります。飲食業では火傷や転倒、小売業では荷物の運搬による腰痛や転落、建設業では高所作業や重機に関わる事故など、業種ごとに起こりやすい労災があります。こうした傾向を知っておくことは、自社の安全対策を見直すきっかけになります。

労働災害が中小企業の経営に与える影響

労働災害が起きると、従業員のけがという問題だけでなく、休業による人手不足、労災保険の手続き、場合によっては事業の停滞といった形で経営にも影響します。

人手の確保が難しい今、働く人が安心して長く働ける職場づくりは、採用や定着の面でも大きな意味を持ちます。安全対策は「コスト」ではなく、人材を守り、会社の信頼を支える「投資」だといえます。

中小企業が今すぐ取り組める安全対策の4ステップ

大がかりなことをする必要はありません。まずは身近なところから始めてみましょう。

ステップ1:自社の業種で起こりやすい労災を確認する

厚生労働省の調査結果や、業種別の事故事例を見て、「自社でも起こりうるな」というリスクを洗い出してみましょう。

ステップ2:職場の危険な場所をチェックする

滑りやすい床、整理されていない通路、無理な姿勢での作業など、ヒヤッとした経験がある場所を従業員と一緒に見直してみてください。

ステップ3:労災保険の加入状況を確認する

従業員を一人でも雇っている場合、原則として労災保険への加入が必要です。手続きが済んでいるか、改めて確認しておくと安心です。

ステップ4:万一に備えた対応の流れを決めておく

事故が起きたときに「誰が、何を、どう手続きするか」をあらかじめ整理しておくと、いざというときに慌てずに済みます。

こうした取り組みは、従業員を守るだけでなく、経営の安定にもつながります。

よくある質問(FAQ)

Q. 度数率と強度率の違いは何ですか?
A. 度数率は労働災害の「起こりやすさ(頻度)」、強度率は労働災害の「重さ(深刻さ)」を示す指標です。どちらも数値が低いほど安全な状態を表します。

Q. 従業員が少なくても労災保険への加入は必要ですか?
A. 従業員(パート・アルバイトを含む)を一人でも雇っている場合、原則として労災保険への加入が必要です。手続き漏れがないか確認しておきましょう。

Q. 小規模な事業所でも労災対策は必要ですか?
A. 必要です。調査では事業所規模が小さくなるほど労災率が高くなる傾向が示されており、小規模事業所こそ日頃の安全対策が重要です。

出典について

この記事は、厚生労働省「令和7年 労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の結果を公表します」(公表日:2026年6月16日)をもとに作成しています。調査結果の詳しい内容は、厚生労働省のウェブサイトでご確認いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/25/

おわりに

安全対策は、従業員の安心と会社の信頼を守る大切な取り組みです。「保険の手続きはこれで大丈夫だろうか」「労災が起きたときの費用はどう扱えばいいのか」など、お金や手続きに関わる疑問が出てきたときには、私たち今井税理士事務所がお手伝いできることもあります。税務や経営のご相談とあわせて、台東区・上野エリアの事業者の皆さまのそばで、ご一緒に考えてまいります。お気軽にお声がけください。

本記事は公表時点の情報をもとにしています。制度は改正されることがあり、個別の取り扱いは状況により異なります。実際のご判断は税理士等の専門家にご相談ください。

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