執筆:税理士 今井亮輔

「上野で念願の店を出したい。でも、会社にすべき? 開業のお金はどう集める? 税理士はいつ頼めばいい?」——開業準備を進めるほど、お金まわりの疑問は次々に出てきます。台東区・上野エリアで飲食店の開業をお考えの方に向けて、会社設立・融資・補助金の基本を、今井税理士事務所がわかる言葉で整理しました。

※本記事の制度内容・金額は2026年6月時点の情報です。融資・補助金の制度は改定されることがあるため、ご検討の際は必ず最新の公募要領・公式情報をご確認ください。

上野・台東区は、なぜ飲食店開業に向いているのか

上野・御徒町・浅草を擁する台東区は、観光客と地元客の両方が見込めるエリアです。駅周辺の人通りの多さ、下町ならではのリピーター文化、そして多様な業態が共存する土壌があり、飲食店にとってチャンスの多い立地といえます。

一方で、家賃や人件費、仕入れの管理はシビアです。日々現金とキャッシュレス決済が混在する飲食業は、売上の記録にずれが生じやすく、開業直後ほどお金の管理でつまずきがちです。だからこそ、開業の「前」に数字の設計をしておくことが、その後の経営を大きく左右します。

飲食店の開業前に決めたい「個人事業か、会社設立か」

開業のかたちは、大きく「個人事業主」と「法人(会社設立)」の2つです。手軽に始められるのは個人事業主ですが、利益が一定以上に育ってくると、法人化したほうが税負担や信用面で有利になる場面が出てきます。

法人化のメリットと、消費税のタイミング

法人にすると、役員報酬を使った所得の分散や、経費にできる範囲の広さといったメリットがあります。金融機関や取引先からの信用も得やすくなります。ただし、設立にあたっては登記費用や社会保険の負担も発生するため、「いつ法人化するか」は利益の見通しとセットで考える必要があります。

また、開業時に見落としがちなのが消費税です。事業の規模や売上の推移、インボイス制度への対応によって、消費税の扱いは変わります。開業のタイミングや法人化のタイミングで判断すべきことが多いため、ここは早めに専門家と相談しておきたいポイントです。

開業資金をどう集めるか — 融資と補助金の基本

自己資金だけで開業資金をすべてまかなえるケースは多くありません。多くの飲食店オーナーが活用するのが、公的な融資と補助金です。この2つは性質が違うので、まず違いを押さえましょう。融資は「借りて返すお金」、補助金は「条件を満たせば返済不要のお金」です。

日本政策金融公庫の創業融資

創業期の資金調達でまず検討したいのが、日本政策金融公庫の融資です。かつての「新創業融資制度」は制度改正で見直され、現在は「新規開業・スタートアップ支援資金」として、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした制度になっています。

この制度の融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)。新たに事業を始める方や、事業開始後の税務申告を2期終えていない方であれば、原則として無担保・無保証人で利用できます。返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が10年以内(いずれも据置期間5年以内)と、創業直後の負担を抑えられる長期の設定が可能です。

審査でとくに重視されるのは、自己資金の準備状況、事業計画の具体性、そして「借りた資金を何に使い、どう返していくか」という見通しです。飲食店の場合、客単価や席数、回転率といった数字を根拠を持って説明できるかが鍵になります。事業計画書づくりは、税理士が伴走できる部分です。

飲食店が使える補助金(2026年の動向)

補助金は、設備投資や生産性向上、デジタル化などを後押しする制度が毎年用意されています。飲食店が活用しやすい代表的なものを、2026年時点の動向とあわせて紹介します。

まず、業務のデジタル化に使えるのが「デジタル化・AI導入補助金」です。これは従来「IT導入補助金」と呼ばれていた制度で、2026年度から名称が変わりました。会計ソフトや予約・受発注システムなどの導入費用が対象で、通常枠では小規模事業者の場合で最大450万円程度の補助が受けられます。個人事業主も対象で、2026年は3月末から申請受付が始まっています。

設備投資をともなう新メニュー開発や生産プロセスの改善には「ものづくり補助金」があり、こちらは補助上限が最大1,250万円と高額です。ただし事業計画書の審査があり、申請のハードルはやや高めです。

補助金は公募期間が決まっていて、予算に達すると早期に締め切られることもあり、制度の内容も年度ごとに変わります。「どの補助金が、自分の店に使えるのか」は判断が難しいところなので、最新の公募要領を確認しつつ、早めに動き出すことをおすすめします。金額や要件は申請枠によっても異なるため、検討の際は必ず最新情報をご確認ください。

そして補助金は、半年以上先の設備投資に対して申請しなければならないこともあります。「相談に来ていただいたときには、もう間に合わなかった」というケースも実際に少なくありません。だからこそ、構想の最初の段階からご相談いただければと思います。

開業後につまずきやすい、お金まわりの3つの注意点

無事に開業できても、その後の経理でつまずく方は少なくありません。よくあるのが次の3点です。1つめは、現金とキャッシュレスが混在することによる売上管理のずれ。2つめは、利益が出ているのに手元の現金が足りなくなる資金繰りの問題。3つめは、無理な節税が、かえって次の出店時の融資審査で不利に働いてしまうケースです。

とくに3つめは見落とされがちです。利益を圧縮しすぎると、銀行から見た決算内容が弱くなり、新店舗の融資が通りにくくなることがあります。節税は「会社を強くする視点」で、無理のない範囲で行うことが大切です。

無理な節税で資金繰りに困り、かえって多額の借入をする——そんな本末転倒なケースも、実際によくご相談いただきます。節税はあとから取り戻せないことも多いので、目先の税額だけで判断しないことが大切です。

「相談しやすい税理士」を、開業前に見つけておく

税理士に相談するのは「開業してから」と考える方が多いのですが、実は開業の前こそ相談のしどころです。個人か法人か、消費税の扱い、融資の事業計画、使える補助金——これらは開業前の判断が、その後の経営に長く影響するからです。

そして、長く付き合う相手だからこそ、「話しやすさ」は意外と重要です。専門用語で煙に巻かず、わかる言葉で一緒に考えてくれるか。「こんなこと聞いていいのかな」と遠慮せずに質問できるか。今井税理士事務所が「日本一、相談しやすい税理士事務所」を掲げているのは、お金の悩みこそ気軽に話せる相手が必要だと考えているからです。

まとめ

上野・台東区での飲食店開業は、立地の魅力が大きい一方で、お金まわりの設計が成否を分けます。個人事業か会社設立か、融資と補助金の活用、開業後の資金繰り——いずれも、開業前に専門家と一度整理しておくだけで、スタートの安心感が大きく変わります。

今井税理士事務所では、台東区・上野エリアの飲食店開業のご相談を承っています。「まだ構想段階だけど」という段階でも大歓迎、どうぞお気軽にお声がけください。

無料で相談してみる